初めて作ったお菓子調理の仕事を始めていちばん最初に教わったのが、”クレーム・ブリュレ”でした。 クレーム・ブリュレはフランス語で「焦がしたクリーム」という意味で、卵黄と砂糖と生クリームや牛乳で作った液体を蒸し焼きにして、仕上げに表面に砂糖(カソナード)をまぶし焦げ目をつけた、シンプルだけど美味しいお菓子です。 ざっくり言えば、プリンの上等バージョン(?)みたいな感じでしょうか^^ その店では、「クレーム・アメリ」(アメリのクリーム)という名前で提供していました。 2001年のフランス映画「アメリ」の中で、主人公が好きなことの1つとして、「クレーム・ブリュレの表面をスプーンの背で叩いて割ること」というエピソードがでてくるのですが、それにちなんでいます。 デザートを担当していたときは、前日にブリュレ液を仕込んで、翌朝1番にオーブンの中にセットしたたくさんの容器に表面張力するくらいまで注いで焼く・・・という作業を繰り返していました。 使っていた業務用オーブンのバットは厳密には平らではなかったので、アルミ箔を棒状にしたものを容器との間にかませて、水平な状態を作り出し、さらにそのようなバットを何段もオーブンにセットしてから、慎重にブリュレ液を注いでゆく・・・という細心の注意が必要な作業で、経験の浅かった私は、毎朝全力で戦っていました^^; そのように容器いっぱいにして焼き上げたものは、キャラメリゼが端まできれいにできるので、これは美しい仕上がりのための最大のポイントで、手の抜けないところでした。 キャラメリゼはオーダーが入ってから仕上げるのですが、カソナードをまぶしてガスバーナーで炙る・・・という作業を2〜3回繰り返すことによって、パリンとした美しい褐色の表面に仕上げます。 このような工程を経て作られたものがお客様に提供され、中のとろりとした濃厚なクリームとキャラメリゼの苦味とカリカリした食感が混ざり合い、至福のひとときを彩ってくれるのだな・・・ということを経験し、いろいろな学びを得た思い出深いお菓子でした。 |